看護物語

患者の心の声

2017.01.30

6階病棟

 

当6階病棟は急性期病棟で、手術を受けて機能回復し自宅に帰れるように関わる役割がある。術後の合併症予防と早期発見を取り組んで元の生活に復帰される患者がいる一方で、術後の経過が順調ではない患者もいる。そこにも、看護の重要性・必要性があるといえる。

 今回、上行結腸癌の手術目的で入院されたAさん、70歳代女性。入院前は自宅で一人暮らし、夜間は別居の家族が交代で泊まり過ごしていた。Aさんの上行結腸癌は手術で全て取り切れず、栄養補助のためにバイパス手術を行った。胆嚢炎も併発し経皮経肝胆嚢ドレナージを行った。手術後は疼痛や嘔気の訴えが強く離床や経口摂取は困難であった。夜間不眠も出現し頻回なナースコールがみられた。そのため創痛か?疼痛か?と、色々薬で調節し鎮痛を図ったり、嘔気に対しては、吐き気止めを使用したりと対応したが、夜間の入眠は得られず日中寝て過ごすことが多かった。精神的なものか?と考えられ、向精神薬の処方も出たが嘔気が強く内服が困難だった。また本人も内服を拒否していた。看護師皆が何とかして苦痛を取ってあげたかった。またA氏の笑顔を取り戻し機能回復につなげたかったが、辛い症状を緩和するための方法がみつからず悩んでいた。

そこで他職種を交えたカンファレンスを開き、全員で意見を出し合った。その結果、精神的な落ち込みが主に症状の増強を招いていると考えた。そこで、離床を進めて家族と共に気分転換をしていただくことにした。また使用薬剤を統一し正しく評価をしていくことになった。離床については体動による嘔気・嘔吐があり離床が進まなかったため、注射で制吐剤を予防投与し離床を進めた。家族も日中面会に来ていただき、寂しくないようにデイルームで過ごされた。気分転換も必要と考え、ベッドの配置を窓側へ変えて過ごしていただいた。夜間声をかけると「寂しい」と気持ちを訴えた。そこで短時間ではあったが夜間頻回に様子を見に行くなどして関わっていった。

その結果、痛みの訴える回数が減り、レスキューの使用頻度も減った。そして嘔吐も減ったため、離床回数・時間が増えていった。また夜間のコールも減り、表情も穏やかになった。本人から「トイレに行きたい」と訴えがあったため、膀胱留置カテーテルを抜いて車椅子トイレで排泄するようになり、自宅退院を目標に日々過ごせるようになった。

今回のA氏を通して、患者の根底にある思いに焦点を当てて関わっていくと同時に、身体面の的確なアセスメントをすることや、スタッフの気持ちを一つにして関わっていくことが、患者の回復過程を進める上では大切だということを再確認できた。今回の学びを今後の周手術期看護に活かしていきたい。

今回、ご協力していただいた、A氏、家族、主治医、スタッフに深く感謝します。

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