看護物語

「すばらしい母でした」~95歳家族と共に過ごせた最期の時間~

2016.09.23

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入院直前まで自宅で元気に過ごされていた95歳女性のAさんは胸水、心不全で6階病棟に入院となりました。高齢でもあり酸素投与や末梢輸液投与だけでは治療の限界があり、入院当初から延命処置はするかどうかの話が医師からされ、家族は「何もしないよりはした方が・・」という気持ちがあり、その場では延命処置をするかしないかの決断ができず迷いがみられていました。Aさんは酸素化が悪化し、個室へ移動。Aさんの意識レベルははっきりされて家族と会話することが可能で、家族は毎日面会に来られ、話しかけたり、孫やひ孫の写真を持ってきたりて家族団らんの時間を過ごしていました。看護師は、家族の話を聞いたり、口渇がひどいAさんの口を湿らせたり、保湿剤を塗るなどし、苦痛の緩和をできるよう援助していました。

医師からも家族にこまめに状況説明がされ、このような時間を持つうちに、家族は「このまま(延命処置はしなくて)でいいです、本当によくがんばって、すばらしい母です」と発言するようになり、延命処置はせず本人が苦痛のないように看取りを選択することができていったのです。

意識レベルの良いAさんはアイスが食べたいと家族に伝え、家族が看護師に確認し、看護師はAさんや家族の希望に添いたいと考え、良いとしました。一口口に運び「おいしい」と言い、「もう一口」と言い、もう一口食べ嬉しそうにされました。その後まもなく娘さん、お孫さん、ひ孫さんみなさん揃われているなかでご家族に囲まれながら亡くなりました。ご家族は本人が喜び、満足し旅立っていかれた看取りを満足しすがすがしい表情で帰っていかれました。また看護師にもそんな環境にしてくれ良い最期をさせてもらったと感謝されていました。

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Aさんとの関わりを通して、延命処置をしないということはなにもしないというとではなく、大事な治療のひとつであり、家族がその選択をできるように支援していくことが大切だと思いました。そのためには医師からの説明の後の家族の気持ちや不安を表出できるような時間を大事にしていきたいです。そして終末期の限られた時間のなかで、患者や家族の要望を捉え、少しでも叶えられるような関わりをしていきたいと感じました。