看護物語

寄り添うことを諦めない

2016.05.20

7階病棟 看護師

 近年では認知症の患者様や高次脳機能障害を持つ患者様が多くみられます。「転倒リスクが高い」という理由で行動制限、拘束をしてしまうケースも少なくありません。そんな中でレクリエーションへの参加、行動が落ち着かない場合には傾聴、同調など、寄り添って看護を実践しています。その中で、症例を一つ紹介します。

Aさん(84歳、男性)は、左急性硬膜下血腫と外傷性くも膜下出血にて入院され、術後7階病棟に入棟されました。入棟された直後は認知機能低下、見当識障害もみられ、夜間不眠が続き昼夜逆転となり病棟内を歩き回るなど不穏の状態が続いていました。歩行の際ふらつきがあり転倒リスクも高かったため常に見守りが必要な状態で、30分毎に交代で見守りをしていました。見守りをしているスタッフに対する苛立ちが募り大声を出したりスタッフに暴力を振るう場面もありました。食事も落ち着いてとることができず、栄養状態も悪化していきました。

clip_image002私達は慣れない入院生活がAさんに多くのストレスを与えているのではないかと考え、家族に可能な限り面会をしていただくよう協力を求めました。しばらくは家族が来ても落ち着かない日々が続きましたが、徐々に落ち着きを取り戻したAさんは少しずつ食事や睡眠がとれるようになっていきました。私達は週1回のペースで行われているレクリエーション(輪投げ、ボーリング)に参加を促したり、15時にお茶、おやつを提供したり、コミュニケーションをとることでAさんとの関係が築けるよう関わっていきました。また、ずっと飼い犬のことを話されていたのでご家族の協力の元病院の駐車場で飼い犬と面会する機会を作りました。

 生活リズムを取り戻したAさんは日々のスタッフとのコミュニケーションもスムーズにとれるようになり、笑顔も多く見られるようになりました。認知機能も上がり意欲的にリハビリに取り組んで下さるようになりました。リハビリが進むにつれ歩行も安定され不穏も落ち着いたため、遠位見守りまで制限を解除することができました。

Aさんとの関わりはとても難しく、Aさん自身も自分の状態やスタッフに対してストレスを感じていましたが付き添っている私達もどのように関わっていったらいいのか分からず、強いストレスを感じていました。そんな中で私達は諦めず一切身体抑制をせず見守りで最後まで対応しました。患者様の安全と尊厳を守りつつ、日々のコミュニケーションから傾聴を行うことで信頼関係が築けていったのだと思います。また時には家族の協力を得ながら、患者様にリラックスしていただく援助も必要だと感じました。

 これからも、患者様に寄り添いその人らしく日々を過ごせるよう模索しながら、患者様の笑顔の溢れる明るい病棟を目指していきます。